さよなら、ギャシュリークラム

遺書を書かされています

『呼吸は足りない』

白い息が寒空に掻き消えていく。擦り合わせた手は乾燥した空気のせいか、果たして積もり積もった年月のせいかガサついている。悴んだ手が何かを掴めるとは思わない。君の手を握ってしまえば冷たさに思わず離してしまうだろう。意識的に息を吐きだしてみる。散り散りになった白い塊が視界から消え失せる。空との境目。きっと空には消えていかない。汽空域じゃサカナクションになっちゃうから汽息域とでも言っておこうか。より自身に近く、ただ言及に意味もなく。雪の残り香が鼻を擽って、何気なく咳を一つ。ただそれだけの行為が喉を焼く。言うべき言葉を飲み込んで、僕はまた息だけを空に吐き出す。