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さよなら、ギャシュリークラム

遺書を書かされています

「潰れた僕のイノセント」

私小説、あるいは

 愕然としながら日付を再度確認する。もしかしたら昨日は彼女の誕生日だったのではないか? いや、間違いない。絶対そうだ。やばい。仕事が忙しく、現に帰宅時間が日付を跨いでしまっているとはいえ、それは言い訳にもならない。プレゼントどころかメールの一つも打っていない。というか一週間近く連絡すら取り合っていない。直接顔を合わせたのはもう一ヶ月以上前になるんじゃないか。これはすぐにでも謝罪するべきか……。それとも気付かないふりで……いや、それは流石にマズイ。何にしろ僕が悪い、これは僕が悪い、ということで間違いないのだ。疲れきった脳を更に酷使することにはなるだろうが、一刻も早く謝らないとならない。メールじゃダメだ、せめて電話しよう。寝てるかな? いや、きっと怒り狂って僕の謝罪コールを待っているに違いない。
 着信履歴から彼女の番号を選んだ。

 

「なんだ。思い出しちゃったか。忘れてくれてたら、まだ君の中で1歳若い自分でいられたのになあ」

 

 


 はああああぁぁああ? いねえ、いねえよそんな女がいるもんか。ああ、なんだそうかこれは夢オチというやつだな。そりゃそうだよ、そんな可愛いこと言ってくる女なんてこの世に存在しねえよしてたまっかよ。はよ起きれ俺。
 はっとして目を開くと、眼前に握り拳が迫っていた。
 謝罪するタイミングもないまま、僕は純然たる殺意にボコボコにされたのだ。